天明鋳物(てんみょういもの)とは、佐野で作られた鋳物製品をいいます。
栃木県佐野市は「下野国佐野天明」と称された地で、その地名が使われています。
700年頃に河内国丹南郡(現:大阪府堺市)で始まった鋳物鋳造。
その技術は全国に広がり、ここ佐野でもその技術が伝承されています。
堺での鋳物鋳造は廃れてしまいましたが、佐野では現在も鋳造工場が残っています。
天慶2年(939年)の「平将門の乱」追討のため、藤原秀郷が河内国から5人の鋳物師(いもじ)を佐野に移り住まわせたことから、天明鋳物は始まります。
武具制作者として連れてこられた5名の鋳造師(いもじ)から伝わった技術は、後に千利休が茶の湯で使ったとされる釜(天明釜)や、日光東照宮などに使われる鋳物に移行して行きました。
江戸時代に隆盛を極めた天明鋳物ですが、2018年の現在、鋳物師は10人弱にとどまっているそうです。
残念ながら、現在、最も身近な鋳物製品はベーゴマなのかもしれません。
ベーゴマセット 320円(←だった気がする)
星宮神社には、享保20年(1735年)に天明鋳物師たちが作り、氏子が奉納した明神鳥居があり、市指定文化財に登録されています。
星宮神社の明神鳥居。
市指定文化財
天明鋳物を扱う店を見て回ったのですが、一軒を除き、いずれも休みでした。
平日にしか開いていないエリアなのかもしれません。
そもそもワタクシたちが自転車で走り回った佐野市内は閑散としており、あまり人に会わない街です。
蔵などの重厚な良い建物が多いにもかかわらず、あまり商売っ気が無いように見受けられる。
余所者としては、勿体ないなぁと思って走行しておりました。
空き地も多いけれど、もしかしたら空き家も増えているのかもしれませんね。
唯一開いていたのが栗崎鋳工所でした。
ベーゴマ以外に購入したのがこちらのツボ押し。
キュウリの形で、体験してみたらなかなか良かったので購入しました。
500円なり。
文鎮にもなりそうです。
【佐野鋳造所跡(鐵館;くろがねかん)】
栃木県佐野市金屋仲町2480
約700坪の敷地内で鋳物工場を営んでいた佐野鋳造所。
現在は、明治時代に建てられたレンガ造りのキューポラが見られる市内でただ一つの工場跡となっている。
併設の鋳物販売店鐵館では、若い職人に受け継がれた天明鋳物の伝統の技を見ることができる。
現在は、明治時代に建てられたレンガ造りのキューポラが見られる市内でただ一つの工場跡となっている。
併設の鋳物販売店鐵館では、若い職人に受け継がれた天明鋳物の伝統の技を見ることができる。
空き地ができたことで観られるようになったキューポラ。
【栗崎鋳工所】
栃木県佐野市亀井町2618
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜
http://www.sctv.jp/~kurisaki-imono/
【若林鋳造所】
栃木県佐野市大祝町2398
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休
伝統的技法により、唐澤山神社拝殿の神鈴、奈良東大寺の茶之湯釜「大佛釜」等を作成。
「天命鋳物伝承保存会」では、若林家に現存する約1,400点もの貴重な鋳造用具を保存するとともに、地域住民を対象にした後継者育成講座などの活動を続けている。
収集保存されてきた天明鋳物生産用具は、栃木県・市指定文化財となっている。
こちらも隣が空き地になっていました。
【正田鋳造所】
栃木県佐野市金吹町2340
「天命鋳物伝承保存会」では、若林家に現存する約1,400点もの貴重な鋳造用具を保存するとともに、地域住民を対象にした後継者育成講座などの活動を続けている。
収集保存されてきた天明鋳物生産用具は、栃木県・市指定文化財となっている。
こちらも隣が空き地になっていました。
【正田鋳造所】
栃木県佐野市金吹町2340
「正田治郎右衛門・29代」。正田家特有の紫銅焼きが特徴。
※南側から見学できるらしいのですが、閉まっていました。土曜日は休みかも。
※南側から見学できるらしいのですが、閉まっていました。土曜日は休みかも。