
賎機山(しずはたやま)の麓にある『静岡浅間神社』は、
神部神社(かんべじんじゃ)、浅間神社(あさまじんじゃ)、大歳御祖神社(おおとしみおやじんじゃ)
三社の総称です。
境内にあるそれらの社とは少し離れた賎機山の上に、
麓山神社(はやまじんじゃ)はあります。
こちらの建物も重要文化財にしていされておりますもので、
高所恐怖症気味ではありますが、必死に階段を昇降して参拝して参りました。
いや、もう、かなりここで神経がすり減りました。
身延山久遠寺の時も相当ヤバかったけど、
背中から転がり落ちるんじゃないか感は、こちらの方が上でした。
再訪するのは、ちょっと自信が無いです。

登るのが楽勝に見えるでしょうが、踏面が狭くて、
高所恐怖症気味のワタクシにはかなりハードルの高い階段でした。
登り切った場所で、ご高齢のマダムに「頑張って」と励まされる・・・


これがワタクシノ命綱。
鎖ゆえ不安定なので心許ないです。
蹴上に付着した桜の花弁に意識を集中させつつ登ります。


登り切って階段を振り返ってみると、かなり勾配が急だとわかりますね。
登り切ってから直ぐに、下りが心配になるワタクシ。

階段を登り切っても油断はできないらしい。

階段はまだ続きます。
4月5日が廿日会祭例大祭だったからか、
境内にはぼんぼりが設置してありました。


まだまだ続く道と階段。本当に山なんですねぇ。
標高171mですけど。


最近、石垣にトキメキを覚えるようになりました。
こういう整然とした石垣も好きです。

[麓山神社(はやまじんじゃ)]
古来より賎機山山上に鎮座していた神社らしいです。


麓山で「はやま」とは読めなかったわー。


ここでは浅間神社の祭神である木之花咲耶姫命の父神、
大山祇神(オオヤマツミノカミ)を祀っています。
やはり富士山周辺の神社には欠かせない社なんですね。

[麓山神社拝殿]
国指定重要文化財
面白いことに、拝殿の両脇に随身像があります。


なかなか立派なお顔立ちの随身。
(向かって左側;若いほう)

横顔が凛凛しい随身。
(向かって右側;年取ったほう)


正面から見ると、素晴らしい福耳であることが判明。

文政3年起工、天保5年竣工。
昭和時代に色を塗り替えていると思われます。


極彩色の拝殿であることが見て取れますが、
退色が進んでいるようです。

この蟇股は馬・・・なんでしょうね。

[麓山神社中門]
国指定重要文化財
無論、内部の見学はできません。


[麓山神社本殿]
国指定重要文化財
黒という色が最も早く褪せるものなのかしら?
と透塀を見て思ってみたり。


[麓山神社透塀]
国指定重要文化財
結界感が半端ない透塀ですね。
視線より高い位置にあるため、余計にそう感じます。

拝殿(左)と本殿(右)。


破風の奥に細かい彫刻が見えます。

屋根は向かって左側が長い、流造(ながれづくり)となっています。


懸魚は蕪懸魚。


これは白象かな。
左側の背景は板に絵を描いているんですね。


周囲が笹だから、この尾が長い鳥は雀なのか?

色は褪せていますが、もの凄く絢爛豪華な手挟み。
色の塗り方がべたーっと均一ではないので立体感がありますね。

出組(でぐみ)の色彩も細やか。


金彩の獅子。
腕の筋がかなり力強い。

まるごと重要文化財。
2007年(平成19年)に「刑務所に入りたい」という理由で
拝殿に放火を試みた50歳代無職の男が居たそうです。
路上生活者で、暑い夏に耐えきれなかったらしいです。
ってか、なにしとんねん。


透塀の屋根瓦には草が茂り始めていました。
瓦の水分量が多くなっているんでしょうね。
素晴らしい社で、ずーっと見ていても飽きないほどだったのですが、
実はここ、ハイキングコースの脇にあるんです。
ゆえに背後を複数のハイカーが「こんにちは」といって通り過ぎて行きます。
それに「こんにちは」と応えていたのですが、
次第に、この先にあるものが気になりだして、ちょっと登ってみることにしました。

よく整備された坂を上っていきます。
(細長い山の先端にいると思ってください)
ワタクシはここを登らず、反対側の崖側から山頂に向かいました。
二度とは来ないだろうと思って。
崖だから太ももがぞわぞわするのですが、
立派な巨樹などがあり、なかなか良いところでした。
片側は柵のない崖ですけどね。しかもこの日は強風。

山から見た社殿。
これは中門と本殿だと思われます。

山が細長過ぎて、どこが頂上かは謎ですが、
山頂っぽい付近から静岡市街を見下ろしたところです。
しかし、ワタクシには方角が全く分かりませんでした。
想像するに、左側に見える山辺りが日本平なのか?


昔は麓と山頂を結ぶリフトがあったらしい場所。
今は何もない公園になっています。


この先に何があるんだろうと思って歩き続けて来ましたが、
際限がないっぽいので、この辺りで引き返しました。
この日はかなりの強風が吹いており、
その風で髪はぐしゃぐしゃになりました。
しかしおかげで煩悩っぽい何かも吹き飛ばされた感じがしました。
108つ以上ある煩悩の、何が吹き飛ばされたのかは謎ですが。
麓に降りる際、あの急階段にビビっていたのですが、
素晴らしくご高齢のマダムがサクサク登ってくるのを見て、
負けん気が湧き、そのアドレナリンで無事下山することができました。
降りる際、足元しか見ませんでしたけどね。
立ち止まったら降りられなくなった自信がある。
さて、これから麓の八千戈神社をじっくり観たいと思います。
【その参】につづく。