「百段階段」とは通称で、かつての目黒雅叙園3号館にあたります。
昭和10年(1935年)に建てられた当園で現存する唯一の木造建築で、
太宰治の小説『佳日』にも登場します。
それはそうと、「百段階段」と言っても、実際は99段なんですね。
今回初めて知りました。
ちなみにここは、映画「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルにもなったんだそうです。
そう思って見てみれば、「千と千尋~」に出てきそうな雰囲気ではある。
[静水の間]
この部屋には
【暗闇に浮かぶ月のあかり ~アートの月が見せる暗闇のあかり 美術家 中里繪魯洲の世界】
というタイトルが付いています。
ガラス玉(水晶だったりして)から隣の部屋が見えます。
とても薄暗く、部屋自体に描かれた画は見にくいです。
馬に映っている月の光は満ち欠けします。
階段を数段上がると隣の「星光の間」。
[星光の間]
この部屋には
【草木のあかり ~造形作家 川村忠晴の世界】
というタイトルが付いています。
造形作家・川村忠晴氏の作品が飾られています。
格天井及び欄間に板倉星光の四季草花が描かれています。
北山杉天然絞丸太の床柱。
なんだか幻想的。
組子細工が二種類合わさっています。
葉っぱって綺麗なもんなんですねぇ。
これは何の植物なんだろう?
虫篭に入った鬼灯(ほおずき)。
鬼灯(ほおずき)ってなんでこんなに美しいんでしょうねぇ。
襖の引き戸も様々な意匠が施されているようですが、
写真に撮れたのはこれだけでした。
もはやどこの階段の天井なのかが分からなくなって来た。
富士山が描かれた障子。
仄暗い通路右手は、普段は窓があるらしい。
[清方の間]
この部屋には
【和紙のあかり ~岐阜県・美濃市「美濃和紙あかりアート展」】
というタイトルが付いています。
扇面形杉柾板に四季草花。
パープルハートという珍木を使った床柱と落とし掛け。
この部屋の木材が一番すごいんじゃなかろうか。
なんだか掛け軸に似合っている「あかりアート」ですね。
一部だけ見ていたらキャベツみたいだけれど。
でもカワイイ。
欄間は鏑木清方の四季風俗美人画。
これが一番、ワタクシが鏑木清方“らしい”と感じた画。
ここが階段の最上階。
確かに99段ですね。
階段k天井画も間近に見える気がします。
[頂上の間]
この部屋には
【提灯のあかり ~山口県・柳井市「柳井金魚ちょうちん祭り」】
というタイトルが付いています。
やばいぐらいに「金魚ちょうちん」がコチラを見ています。
天井画は松岡映丘門下の作品。
ここの組子細工が一番凝っていたような気がする。
昭和初期の芸術家たちの名前が連なっています。
各所の照明器具も、一寸ずつ異なります。
古い照明器具にはマツダランプが使われていたんですよね。
概ね見学者は多いのですが、サッと引いて誰も居なくなる瞬間はあります。
こんな感じに。
よく言えば豪華絢爛。
悪く言えば装飾過多。
でも、面白かったです。
もう一度、足を運びたいかと聞かれれば今は無言を貫きますが、
百段階段を撮れるチャンスはそうそう無いと思えるので、
オススメはしたいと思います。
昭和初期に建設された木造の旧館においては、敗戦直前の昭和19年頃まで、戦時下の国民が苦しい時局や贅沢禁止令下にもかかわらず、大勢の著名な画家や彫刻家、塗師が出入りし、あるいは泊り込み、部屋ごとに女中と書生付きで数年にわたり内装や絵画作品を完成させたという。金泥の制限で時局の悪化を知ったという画家の逸話もある。
という時代の隔離された世界を観て、
芸術という名の狂気に浸るのも、
たまにはいいかも。
【「和のあかり×百段階段」展 ~日本の祭り、12 のあかり~】
開催期間:2015年7月3日(金)~2015年8月9日(日)
会場:目黒雅叙園 東京都指定有形文化財「百段階段」
東京都目黒区下目黒1-8-1
料金:1,200円(当日券)