一昨年からずーっと訪れたいと思っていた国宝「大善寺」。
「逃げ恥(逃げるは恥だが役に立つ)」3話のロケ地となり、
全国から若者が訪れて参拝客が10倍に激増したとニュースになっていたもんで、
ほとぼりが冷めるのを待っておりました。
タクシーのおっちゃんに訊いたところ東山梨駅からは車で10分程度で、
しかも料金を大サービスしてくれるっつーもんで、運んでもらいました。
拝観料が500円掛かるから、せめてタクシー代は安くしてあげようってことだったのかも?
しかし我々は通常の拝観料ではなく、ワイン付きの拝観料800円を選んじゃいましたけど。
おっちゃんは到着するまでの間、お寺にまつわる話もしてくれました。
国の選択無形民俗文化財に指定されている「藤切り祭」という奇祭があるのですが、
高さ3間半もある御神木(祭りのために組まれているっぽい)から
大蛇を形どった藤の根を修験者が切り落とし、
それを「破邪顕正の守護藤」として参拝客が競って奪い合うのだそうですが、
昔は鎌使って切って持ち帰っていたので怪我人が続出したのだとか。
検索してもそんな話は出てきませんけど、
地元の人が言っているんだから昔はそうだったんだろうなぁ。
今は鎌を振り回している人は居ませんが、
YouTubeで見たところ、奪い合いはかなり激しいです。
それ以外の情報としては、
堂内にある十二神将の像が一体盗難に遭ったものの、転売できずに結局は戻ったとか、
近藤勇が新政府軍と戦った際、新政府軍の鉄砲の弾が山門を傷つけたとか。
観光前に聞くには有用な情報を頂きました。
[山門]
山梨県指定文化財
慶応4年(1868年)、戊辰戦争で近藤勇の率いる甲陽鎮撫隊の兵が
甲州街道を甲府城へ向けて進軍。
同年3月6日に大善寺の付近で新政府軍を抗戦し、敗退した。
(甲州勝沼の戦い)
弾の痕がどこにあるかは分かりませんけどね。
立派な文字なのかはワタクシには分からない山門の扁額。
仁王像がありました。
これはカッコイイ。
吽形の仁王像。
もう、仁王像に彩色なんてしなくていいと思うの。
山門の木鼻には唐獅子の彫刻もあります。
山門から続く石段。
とても登り易い階段でした。
正面が本堂。国宝です。
秘仏・薬師如来像が本堂の厨子内に安置されれているそうです。
秘仏なので見ることはできません。
葡萄を持つ薬師如来像だそうです。
その背後には、木造十二神将立像(重要文化財)と
木造日光・月光菩薩立像(重要文化財)が安置されています。
(堂内は撮影禁止)
本堂の屋根に越屋根が見えますね。
って、越屋根じゃなかった。
家紋が付いていますが、良く見えません。
桜の木があるので、春に訪れるのも良いかもしれません。
薬師堂とも呼ばれる本堂は、県内で最も古い建物だそうです。
端正な造形の本堂。
ワタクシもこういうのが美しいと感じる歳になりました。
[釣鐘]
[行者堂]
藤切り祭の開催場所はこちらみたいです。
芭蕉の句碑もありました。
本当に芭蕉って、何処にでも句碑があるよなぁ。
生育に失敗したアボカドの断面図みたいな石がありました。
[楽堂]
藤切り祭の時には警備本部が置かれる場所になります。
涼しい風が入り、一休みするには丁度いい場所です。
眼下に甲州の街が広がります。
しかし、堂内ではなく表には展望台がありました。
こちらも風が涼しいです。
(日差しはジリジリするけれど)
山の稜線に沿って湧き上がる雲。
天気は下り坂になるのでしょうか。
暑さでへろへろになって参りました。
石段を下り、庫裏へと移動します。
こちらでワインを頂きます。
(無料で冷たい麦茶も頂けます)
池泉鑑賞式庭園がありました。
小さな滝もあります。
ワインは白か赤かを選べます。
これはベリーAで作ったワインなんですって。
机の上には巨峰の盆栽が飾られていました。
境内でワインが飲めるお寺は全国でも稀なんじゃないかな。
なかなか面白いなと思いました。
頂いた御朱印は二種。
この後、勝沼ぶどう郷駅に徒歩で向かったのですが、
たぶん2kmはあると思う。
日陰のない葡萄畑の坂道をダラダラと上っていたら、一台の車が停車しました。
お客さんを駅まで送るついでだから、乗って行かないか?という声掛けを頂き、
車でなら3分も掛らない坂道を運んでいただきました。
以前から思っていましたが、山梨の人って本当に親切です。
車が駅に着き、Ennaさんの気付きにより電車が到着する時刻ピッタリで、
長らく待つこともなく、帰路に着くことが出来ました。
これも御利益かもしれんね。
【大善寺(だいぜんじ)】
山梨県甲州市勝沼町勝沼3559
山号:柏尾山
宗派:真言宗智山派
本尊:薬師如来
創建年:伝・養老2年(718年)
開山:伝・行基
札所等:甲斐百八霊場18番