
重要文化財内での写真撮影禁止(この庭の下がその構造物です)
日向利兵衛の別邸が静岡県の熱海市にあります。
あるのは知っていたのですが、長らくタイミングが合わず、今までスルーして参りましたが、今回その機会を得まして、朝から行って参りました。
歩いても近いのですが、急坂があるのでかなり汗だくになります。それゆえ熱海駅からタクシーを利用(710円)しました。
高台の傾斜地を利用した建物で、上屋と地下で手掛けた人物が異なります。
木造2階建ての上屋の設計は、銀座の和光(旧服部時計店)、上野の東京国立博物館、日本劇場、原邦造邸(原美術館)などを手掛けた渡辺仁によるものです。

階段を降りた右側が旧日向別邸です。
ここだけ昭和感があります。

母屋は、かなり傷みが目立ちます。

これは桜の木か?

入口は回すタイプのドアノブで、
ドアに填まったガラスがガタガタと鳴るのが昭和っぽいと思いました。

重要文化財の指定書。

受付のおじさんが座っている正面に地下への入口があります。
※ちなみに一階のこの部屋は撮影OK

純然たる和室なので、
渡辺仁が造ったという感じがよく分からなかったワタクシ。
凝っているなぁとは思いましたけれども。



小上がりになっている和室。使い勝手が良さそうでした。


ちょっとした収納ができる天袋。

この竹塀は割と新しそうです。
母屋は1934(昭和9)年に完成しましたが、地下室は1934年(昭和9年)から1936年(昭和11年)にかけてドイツ人建築家のブルーノ・タウトが設計・改装しました。
ブルーノ・タウトは「桂離宮」を世界に広めた最初の建築家としても有名で、多くの著書を残しています。
旧日向別邸の地下室は日本における唯一のタウト設計の建造物で、国の重要文化財に指定されています。
(渡辺仁による母屋は附(つけたり)指定)
竹や桐を多用した社交室は直列で連なる照明器具が独特で、椅子などの家具もタウトのデザイン。紹介写真でよくみる階段のある赤い洋室、そして和室の計3室が海に向かって横一列に並んでいます。
桂離宮などからインスピレーションを得た、タウトによる和の美学がふんだんに盛り込まれている内装です。
しかし桐板などは陽射しで焼け、有名な階段の部屋の赤いシルクの壁紙は摩耗し、至るところに経年劣化が見受けられました。
ちなみに地下にはクーラーが無いため、夏は結構暑いです。

受付で小さパンフレットが100円で販売していました。
日向氏の死後は民間企業の保養所として利用され、今は熱海市の所有となり一般公開されています。
来年から4年間、上屋も地下も大規模修繕がなされるそうで、長らく見学ができなくなるそうです。
4年後には上屋の2階も見学できるようになるし、地下の有名な階段の部屋もタウトの色彩が再現される予定なのだとか。
見学は土日祝日のみの、予約制。
飛び込みで行っても入れない確率の方が高いらしいです。
4年後は混むでしょうねぇ。

隣接する海峯楼から屋根を撮影。
来年からはここが養生で覆われてしまうんでしょうね。


地下室の上にあたる庭の塀を見ると、瓦が欠け落ちていいました。
ここも修繕されるんでしょうね。たぶん。

【旧日向別邸】
静岡県熱海市春日町8-37
営業時間(土日祝のみ) 10:00,11:00,13:00,14:00,15:00(各回とも予約制)
見学料金:大人300円・中高生200円・小学生無料(但し保護者同伴)
http://www.city.atami.lg.jp/shisetsu/shisetsu/1001942/1001950.html