旧日立航空機立川工場変電所は、航空機のエンジンを生産する軍需工場へ送電する変電施設として1938年(昭和13年)東京瓦斯電気工業(株)変電所として作られました。
翌年、日立製作所と合併し、日立航空機立川工場変電所に名称を変更。
同変電所は、高圧電線で送られてきた電気を減圧し、工場内へと送る施設です。
戦局激化に伴い、度重なる米軍の空襲を受け被災。隣接する工場は大破したものの、変電所は大きな被害は免れました。
戦後は内部変電施設の更新をしつつも建物自体の修復はほとんどせず、1993年(平成5年)まで変電所として使用されていました。
現在は、東大和市の指定文化財(市史跡)に指定され、同市が保存・管理を行っています。
しかし建物の老朽化が進んでおり、大規模修繕の必要性に迫られているそうで、東大和市の「変電所保存のための基本方針(改定)」によると、令和2年度に保存修理工事の計画があるようです。
今回、工事前の姿を見ておきたいと考え、今月の公開日である今日、同地にやって参りました。
矢印の方向から爆撃されているため建物の正面の被弾が多い。
壁面に残る機銃掃射や爆弾の破片による痕。
屋内に貫通している箇所もあります。
貫通痕の屋内側。
建物の構造が分かる箇所も。
建物正面には無数の痕が残っています。
建物側面を見ると機銃掃射の痕は少なくなります。
建物裏を見ると痕は散見される程度になります。
変電所の痕跡は建物裏側に少し残されています。
コンクリート製の階段にも爆撃の痕が残っています。
窓枠や扉などは爆風で吹き飛びました。
階段裏にも窓から飛び込んだ爆弾の破片による痕(と思われるもの)がある。
現在、二階は非公開となっています。
500ポンド爆弾(226.7kg)
B-29爆撃機から落とされた爆弾は、
東日本では250kgが中心だったそうです。
(西日本は1トン爆弾が中心なのだとか)
内部で展示されているパネルや写真。
映像展示もあります。
テレビ画面が小さいので後ろに座ると見えにくいです。
壁が改修で塗り直されていますね。
平成7年の修復工事により、鉄柱で補強された箇所があります。
外部のみの見学はいつでも可能です。
見学日だと入口に募金箱が設置されています。
また、変電所の保存のため、ふるさと納税の募集もされています。
壊れかけた建物を維持するのは並大抵の努力ではないと思います。
細々と修繕は必要でしょうし、修繕し過ぎると元の姿が分からなくなるし。
税金を使うには市民の同意が必要でしょうから、なるべく募金に頼りたいだろうなぁ。
微力ですが、修繕時に使う塗料の足しにでもなればと見学料程度を入れさせていただきました。
修繕が済んでから、どのように手が加えられたのかを見るため、再訪したいと思います。
ロゴで大まかな製造年が判別できるのですね。
しかし、前面にあるというロゴを発見できませんでした。
割れて損失している箇所にあったのかな?
【旧日立航空機立川工場変電所】
東京都東大和市桜が丘2丁目 都立東大和南公園内
西武拝島線玉川上水駅より徒歩5分
一般公開:毎月第2日曜(13:00~16:00)