
続いて、座敷に向かいます。
普請道楽とまではいかないものの、意匠性に富んだ設えは必見です。
線が創り出す清廉さと、緑が醸し出す癒し。
町屋は夏の涼しさを追求した造りなのかもと思わせる居心地の良さでした。

廊下が無い代わりに、坪庭がハレとケの空間を区切っています。

父の実家を思い出させる手水鉢。
子供だと手か届かないんてすよねぇ。

土壁の部屋がケの空間、
漆喰塗りの部屋がハレの空間ってところでしょうか。

[新座敷]
敷地の奥にある座敷です。

新座敷の床の間。
シンプルな造形でありながら優美に見えるのは、地袋の絵が優美だから。


蝶が舞う襖絵です。



蝶の絵が繊細で優美。

新座敷の納戸側(右側に納戸あり)。

納戸にある箱階段。
二階は非公開です。

新座敷の奥にあるのが内蔵。


[内蔵]
建築年:1796~1798頃
土蔵造、桁行8.1m、梁間5.0m、二階建、切妻造、本瓦葺。

内蔵と主屋の境目。

風が通り抜けるため、縁側に居ると涼しく感じます。


ゆえに、風で風鈴が鳴る鳴る。

格の高い大座敷。


彫刻欄間は凝り過ぎず、簡素過ぎず。

縁側に張り出した庇にはベンガラを塗っているっぽい。
左手には収納棚があります。


ボール紙で猫と鼠が貼られてありました。
これは今のご当主の遊び心ですかね。

謎の太鼓。

[小座敷]
大座敷下の間の横にあります。

書斎隣の二畳ほどの部屋。


[書斎]
正面左の扉から外に出られるようです。


生活を感じさせる道具類が展示してありました。


虫食いがモゾモゾする古書。
長唄の教書か?

虫が入り放題の開口部。
でもビジュアル的にはイイ感じ。

主屋側から長屋門を眺む。

長屋門の軒下の波型の意匠。
壁は昔はベンガラを入れていたのかしら。

長屋門と主屋の間にある井戸。
これだけ大きな整形された石を運ぶのも大変だったでしょうね。

ちょこちょことある中庭のおかげで、採光・採風が期待できます。
手前の大甕は防災用だと思われます。

大座敷を外から見上げてみる。
こうしてみると天井の造りって重要なんだと思えますね。
面積が広いと使用木材のランクが露呈し易いと言うか。

こういう手水鉢に水を溜める役割も下働きにはあったのかしら?

大座敷専用の雪隠(トイレ)はかなり豪華で焼き物です。
どこ焼きかはわかりませんが。
それに気を取られて、雪隠の個室側を見逃しました。


大座敷の中庭にある手水鉢は青銅製っぽい。
唐来物っぽいですね。

米蔵と主屋の間に大八車の車輪らしきものがありますね。
米俵を乗せて運んだのかな。

[米蔵]
土蔵造、桁行10.9m、梁間5.9m、二階建、切妻造、本瓦葺。


【平目地瓦張】
内部にまで瓦が張り巡らされているを目にしたのはこれが初めてです。

かなり豪華な刺繍が施された雛人形。

入口で販売されているお土産物は実物だったんですね。


大量に、そして無造作に置かれた古銭。
これが実際に使われる訳ですね。
文化財指定の豪邸といえば、引手も見どころの一つです。
ワタクシは引手で部屋の格が分かると考えております。







見どころがたっぷりとあり、倉敷観光には欠かせない施設だと思えます。
オススメです。

【大橋家住宅】
岡山県倉敷市阿知3-21-31
開館時間 9:00~16:00
休館日:12月から2月の毎週金曜、年末年始(12月28日~1月3日)
http://ohashi-ke.com/