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 道端に捨てられたゴミを見かける率が急上昇している気がします。
「自分のことしか考えない羞恥が麻痺した高齢者が増えたからだ」と言う人がいますが、個人的にはポイ捨てする人に年齢や縛りはないと考えています。少なくともウチの近所の高齢者はそんなに出歩かない。福祉が整っており、タクシーや病院に送り迎えしてくれるバスを利用する人が多いからです。コンビニのビニール袋をぶら下げている高齢者を見ませんし、歩きながらゴミを捨てる「ながら行動」をする身体的余裕はないとも思える。そして高齢者のなかでも後期高齢者は皆さんカートを押している。たとえ歩きながらゴミが出る行動をとったとしても、仕舞う場所があるのです。ゆえにウチの近所のワタクシの知る範囲においては高齢者のせいだとは言えません。
 しかしウチの近所でも街路樹の下にゴミがあるのです。

 ワタクシがポイ捨てを目撃するのは、老若男女問わず一人で行動している人。電車内であろうと、道端であろうと、隣に誰かが居て見咎められる環境にない人が多いです。
 つまりは、自分にとってそれを見られては困る人がそばに居ない人がポイ捨てをすることが多いと感じるのです。

「ポイ捨てする人は、家庭や生活環境による人間性と性格に問題がある」と述べる方がいますが、それは確かに要因として当てはまる気がします。
 長距離移動の同行者で飲み終わったコーヒーのプラカップを電車の座席の下におく人がいましたが、先の一説に該当する節がありました。指摘したら電車内から持って出ましたが、ゴミ箱に捨てたかは不明です。
 別の知人の場合、家にゴミを持ち帰るとその内容を咎められるからと言い、そういう理由もあるのかと納得したこともあります。
 人によってポイ捨てする理由は様々ですが、大半を占めるであろう理由は「面倒くさいから」。ゴミ箱まで持ち歩くのが面倒くさいようです。(今の季節だと使用後の汗拭きシートを持ち歩くのが厭らしい)

そもそも近年、東京では設置されているゴミ箱が圧倒的に少なくなっています。
1995年3月20日 地下鉄サリン事件(日本・東京)
2004年3月11日 マドリード列車爆破テロ事件(スペイン)
2005年7月7日 ロンドン同時爆破事件(イギリス)
これらのテロ事件以降、テロ防止のために東京から大量のゴミ箱が撤去されました。

 しかし、ゴミ箱を沢山用意すれば良いというわけではないようです。
 新宿区では1997年に「ポイ捨て禁止条例」の施行に合わせて街頭に300個のゴミ箱を設置しましたが、ゴミ箱がすぐに溢れて美観を損ねるという結果となりました。ゴミは主に近隣の飲食店や家庭から持ち込まれたものだったそうです。結局、新宿区は設置したゴミ箱をすべて撤去することにしました。
 飲食店などから公共のゴミ箱にゴミが持ち込まれる理由は、事業系ゴミには処理手数料がかかるためです。その費用を浮かすための行動だと思われます。

 来年は東京オリンピックか開催されますが、テロを警戒して今よりも多くのゴミ箱が撤去されることが予想されています。外国人が日本で困ることとして「街中にゴミ箱がないこと」が挙げられていますが、東京都環境局は「外国人観光客には、不便だと思っても持ち帰ってもらう日本のやり方を理解してもらえるようPRに力を入れていきたい」としています。
 これがオリンピック時期においては現実的でないと思えるのは、開催時期は東京が特に暑くなるから。常にペットボトル飲料を開けたくなる猛暑にあって、嵩張る空のペットボトルを持ち歩く人が何人いるかしら。

 現在、ハウステンボスや表参道、東海大学などでは、アメリカのBigBelly Solar社が開発した「スマートゴミ箱」が設置されています。IoT技術を活用しており、一定量を超えると自動的にゴミを圧縮する圧縮型と、ゴミの蓄積状況の通知をする非圧縮型の2タイプがあるようです。ゴミの蓄積状況は携帯電話回線網を通じてリアルタイムに報告されるため、ゴミを効率的に回収できるほか、ゴミを自動圧縮する機能により回収頻度が削減できます。ゴミ箱ごとの回収状況がわかるため、ゴミがあまり溜まらない場所にあるゴミ箱を撤去してゴミが溜まりやすい場所に増設することができるほか、太陽光ソーラーパネルによる発電のためCO2を排出しないそうです。
 IoT技術を使えば、テロ対策されたゴミ箱もいすれ実現できそうですね。

 今年1月1日現在の東京都の人口は推計で13,857,443人。対前年同月比で103,384人増加。1997年以降、23年連続で人口が増加しています。(7月現在の人口は13,930,181となっており、1月から72,738人増加しています)
 人口が増加しており、観光客も増えているのにゴミ箱は減っている。コンビニで店外にゴミ箱を設置しない、もしくは店内にも設置しない理由は、ゴミを分別しないなどゴミ捨てに関するマナーが悪いためだと言われています。また、一部の外国人はゴミ箱がないと、既にあるゴミの上にそのまま捨ててしまうのだそうです。

 鎌倉市では2014 年までは観光客用のごみ箱が設置されていましたが、2015 年4 月の家庭ごみ回収有料化に伴って廃止されました。鎌倉市がごみ箱の中身の調査を実施したところ、家庭ごみの混入が多かったそうです。駅でも家庭ごみ混入が多いためごみ箱が廃止されています。(家庭ごみをわざわざ駅まで持っていく行動力がスゴイともいえる)
 ちなみに世界遺産で人気の栃木県日光市では、ゴミの投棄やポイ捨ては問題になっていません。苦情は年に1~2件ある程度だそうです。「道を整備して綺麗にしているので気軽にゴミを捨てる感覚に至らないのではないか」と市では認識しているのだとか。

 路上のゴミの量はエリアの文化度を反映するものだと思うのですが、全国的にポイ捨てなどのマナーに反する行動を抑止するのは行政任せでは難しいのかも。


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