東忠


江戸時代創業の老舗料理屋『居食亭 東忠』(旧名称:割烹東忠)。

北越戊辰戦争の一場面に登場した歴史の舞台であり、

国登録有形文化財でもあります。

今回の旅は、コチラでの食事がメインだったので、

ワタクシ的にはかなり緩いスケジュールとなっておりまして、

館内を案内してくださるという素晴らしいご厚意に甘えさせて頂きました。

本当にありがとうございます。

建物は川畔の傾斜地に建つ木造3階建。

江戸末期建築の2階建に、昭和時代に3階(大広間)が増築されています。

北越戦争「小千谷談判」の舞台になった慈眼寺が近くにあり、

(慈眼寺には岩村精一郎が駐屯していた)

同地での談判が決裂した後、

河井継之助(長岡藩家老)はこの東忠で食事をしたそうです。

そのお座敷も見せて頂きました。

東忠
河岸段丘ならではの崖に沿った坂道は、私道なのだそうです。

東忠
坂の上から降りてくると最初見えるのが下見板張りの外壁を持つこの玄関。
こちらは従業員用の棟になっているそうです。


東忠
玄関より坂を下ると、そこは蔵でした。
こちらの蔵も国登録有形文化財となっております。
文化財登録名:割烹東忠上の蔵(かっぽうとうちゅううえのくら)


東忠
戦前は1階が撞球室だったそうです。
(ゆえに窓が洋風)
それはそうと、蔵の二階端にドアが見えますね。

東忠
蔵から坂下に向かって続く建物。
その右手に待機スペースがあります。


東忠
今は休み処とされている建物向かい側のスペース。
以前は何かしらの建物が建っていたかもしれませんね。


東忠
蔵の下にある通気口。
雪深いエリアなので湿気は多そうです。


東忠
通気口の蓋も残ってます。

東忠
東忠の離れ。
今は倉庫代わりに使っているそうです。


東忠
下見板張りの外壁の奥に漆喰塗りの壁があるってことは、
奥は蔵なんでしょうね。


東忠
坂の下から見上げてみたら、やはり蔵になっていました。
ここは文化財の指定からは外れているようです。


東忠
文化財登録名:割烹東忠本館(かっぽうとうちゅうほんかん)
木造3階建、鋼板葺、建築面積200㎡


東忠
客用入口はここ以外にもう一か所下にあります。

東忠
昔の看板(旧名称)の取り外されずに残っていました。

東忠
車で来る場合は下の湯殿川添いの車道から上がってくるようで、
カフェの看板は下側に向かって立てかけられていました。


東忠
入口の文化財プレート。

東忠
ワタクシには読めないけど、たぶん店名が書かれた看板。
何の木を使っているんだろう?


東忠
入口は吹き抜けになっていて、間口は狭いけれど広く感じる空間です。

東忠
この欅の茶箪笥など、一目で物が良さそうってわかるものが飾ってあります。
ってか、手前の囲炉裏の自在鉤は龍の模様が施されているのかしら。
今気づきました。


東忠
福助さんが乗ったタンスも良いですね。
ってか、この福助さんも良くて、
骨董屋で売っていたら買うのを一考したと思えるものでした。


東忠
レジがある横のお座敷は待合室になっているようです。

東忠
ここの障子を開けると、ガラス戸があり、
その向こうには雪囲いがありました。
その先には庭があります。


東忠
庭に面した、一階奥にある茶室。
綺麗に整備されていますが、
使いたいという予約はまだ入っていないそうです。


東忠
茶室の天井。竹に目が魅かれて撮ってみました。
天井の造りが繊細で優美ですよね。


東忠
二階に上がって来ました。
左手に玄関の吹き抜けがあり、
玄関正面に大きな神棚があります。
三つの神様の右側はお稲荷さんでした。


東忠
梅の間に続く廊下にはわざわざ結界のような欄間が施されています。
天井は竿縁天井で、使っている木材も銘木のようです。


東忠
二階の「梅の間」に続く廊下には、
その部屋に関する河井継之助について書かれた書籍がありました。


東忠
[梅の間]
本日の目的であった部屋です。


東忠

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想像していたよりも小ぢんまりした部屋で驚きました。
まあ、食事をするタイミングを考えれば当然の広さなのかもしれませんけど。
上座に河井継之助が座って食事をしたそうです。


東忠
窓からは庭が見下ろせます。

東忠
文化財登録名:割烹東忠別館(かっぽうとうちゅうべっかん)
昭和前期の建築。
(崖側の建物がそれです)


東忠
別館1階は気軽にランチができる食事処として利用されています。

東忠
[中広間]
それなりに広い和室ですが、
庭には面していないため、ひっそりと落ち着いた雰囲気。
書院脇の開口部の配置が面白いですね。


東忠
「梅の間」の横に位置する部屋だった気がします。
(昭和時代に増設された別館部分)
右の壁の床の間が超簡略化されているのが面白いですね。


東忠
2階にある喫煙スペース。
文化財でこのスペースを設けているのはレアなのではないかしら。
ワタクシは喫煙しませんが、素晴らしい気遣いだと思いました。

東忠
二階窓から見下ろした庭。
雪下ろしをした雪は、庭の無声に見える湯殿川に流すのだそうです。
(湯殿川の先に信濃川があります)
手作業だからこそできることで、
除雪車の雪は川に流すことは禁止されているんですって。


東忠
二階と三階を繋ぐ階段。
吹き抜けゆえか、坂道に立つゆえか、天井がかなり高いです。
木造でこの高さが出せて、しかも豪雪に耐えられるって、
どんなスゴイ技術なんだよ、と驚愕致しました。


東忠
3階へ向かう階段。
この先に大広間があります。


東忠
部屋が規則正しく並んではおらず、
他部屋の客と鉢合わせしないような工夫がしてあります。


東忠
20畳ある中広間。
壁の色が独特、というかここだけの色になっています。


東忠
狆くぐりには桜が使われています。

東忠
掛け軸は桜の絵が使われていました。
お軸を管理するだけでも楽しそうだなと思ったら、
実際はとても大変なのだそうです。
ですよね、季節ごとに各部屋のものを変えないといけませんものね。

東忠
昭和時代初期に増築された3階の大広間。
以前はここで披露宴などもされたそうです。
階段が多いので花嫁さんは大変だったとか。


東忠
ここの畳の芯は本物のようで、足に優しい感じがします。
維持するのが大変だろうなぁと思います。
畳表だけでも維持費がどれだけ掛かるか。
ここに手を入れて継続させようと思った今の経営者さんは
本当にスゴイ人だと思いました[注1]。


東忠
ものすごくしっかりした造りの階段。
急階段ではありますが、昇降し易い気がします。
階段の手すりも何気に意匠性があるんですよね。


東忠
二階から一階を見下ろしてみる。

東忠
改めて外観を確認すると、
坂下が三階、坂上が二階建てになっているのが分かります。
ゆえに館内に居ると、
坂上側の部屋が何階に位置するのか分からなくなるんですよね。
もう一度伺えば、配置がよく理解できそうな気がします。


東忠
矢切りは格子がはめ込まれていましたが、
これはどういう効果があるんだろう?と気になりました。


東忠
車道に面する側の外観。


案内してくださった方には大変お世話になりました。

昨年のオープンから年度末のこの日まで、

いろいろとご苦労がおありだったのだろうなぁと推察されます。

ここには書かなかった話もいろいろ聞けて、とても参考になりました。

ありがとうございます。

今回、ここを目的とした小千谷市日帰り旅を計画しましたが、

お陰様で、とても印象の良い、思い出深い旅となりました。

本来であれば普通にランチを摂って帰るという

なんとも素っ気ない時間を過ごして終わったと思うのですが、

館内を拝見でき、とても勉強になりましたし、再訪したいと思えました。

そして必ず再訪しようと思います。

車が無くても、小千谷駅から歩けなくはない距離ですし、

歩きたくなければバス利用も可能です(最寄りバス停まで170円でした)

昨年の今頃は入ることすら叶わなかった文化財。

気軽に入ることができるようになり、内部を見学したいという野望が叶い、

大変幸せな一日でした。

これから小千谷市を旅する方々にぜひともオススメしたい場所です。



【注1】現在は、財団法人 小千谷市産業開発センターが建物を取得。飲食業者に貸し出ししているそうです。

東忠
【居食亭 東忠(とうちゅう)】

新潟県小千谷市元町11-11
JR上越線 小千谷駅より徒歩約20分(小千谷駅から1,308m)
営業時間[昼の部]11:00~15:00,[夜の部]17:00~23:00
http://tochu-ojiya.com/

国登録有形文化財(建造物):本館、別館、上の蔵


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