[太山寺(たいさんじ) 本堂]
建立期:鎌倉後期永仁年間(1293年~1299年)
国宝
神戸市内で国宝に指定されている唯一の建築物がある『太山寺(たいさんじ)』。
国の重要文化財に指定されているものは、仁王門、阿弥陀如来坐像をはじめ18件。
なのに全国的認知度はかなり低いと申せましょう。
ワタクシの周囲の認知度は関西出身者を含めてもゼロでした。
南北朝時代に、南朝方勢力として支院41ヶ坊に僧兵を有していた太山寺。
現存する支院の一つである安養院には、
安土桃山時代の枯山水名園があり、国の名勝に指定されています。
本日は母と三宮駅から神戸市営西神・山手線(西神中央行)で伊川谷駅まで行き、
伊川谷駅からタクシー(1,080円/片道)で現地に向かいました。
[仁王門]
国指定重要文化財
新西国三十三箇所25番札所でもあります。
ちなみにココにバス停があります。
バスの時刻がわかり易く1時間に1本。
他の場所にあったものを現在の場所に移築したと伝えられています。
室町時代中期の建築物で、入母屋造、本瓦葺、八脚門。
棟高は8mあります。
仁王像は菱格子で覆われています。
阿行(あぎょう)像を隙間から激写。
ガラスらしきものが填め込まれた眼球。
もっと詳しく見たいものの、格子で見えません。
吽形(うんぎょう)像。
仁王門の周囲に車道があるため、柵が設けられています。
屋根瓦は比較的新しい感じ。
鬼瓦が見えますが、表情までは見えませんでした。
もしかしたら鬼瓦だけは古いものなのかも。
仁王門を出て、参道を歩きます。
途中のあぜ道に土筆が生えていました。
広大な駐車場の奥にあった石垣。
城の石垣のような反りが見られます。
基礎になっている石はかなり大きな一枚岩みたい。
太山寺は、支院41ヶ坊・末寺8寺・末社6社を有していたそうですが、
現在は龍象院・成就院・遍照院・安養院・歓喜院の5坊が残っているのみ。
[安養院(太山寺安養院庭園)]
石組みで表現した枯池式枯山水が見られるそうです。
安養院庭園(国指定名勝)の一般公開予定日は
4月27日~5月5日。
わき道から安養院内にある江戸時代中期の茅葺民家が見えます。
[中門]
門をくぐった左側に受付があり、300円の拝観料を支払います。
震災の影響なのか、石段のずれが散見されました。
[手水舎]
手水鉢は大きな石をくり貫いたもので、
ワタクシにはかなり良いものに見受けられました。
国宝への階段。
本堂は寺院建築には珍しい蔀戸(しとみど)が見られます。
蔀戸の上部が持ち上げられ、下部が撤去され、
開口部となっています。
本堂は密教本堂式と呼ばれる形態です。
この黒い開口部が蔀戸(しとみど)。
桁行7間、梁間6間。
懸魚は猪目(いのめ)懸魚。
本堂外陣。
昭和39年(1964年)に解体修理され、内外の朱も塗り直されています。
側面は蔀戸はごく一部だけで、他は板戸などになっています。
本堂正面の石階段。
木製じゃなくて石段ってところが安定していて良いですね。
白漆喰の亀腹(かめばら)。
震災では、この亀腹に亀裂が入ったそうです。
朱塗りの柱と黒塗りの蔀戸、白漆喰の壁のコントラストが良いですね。
本堂前の梅が満開でした。
杏と梅の接木と書いてありますね。
梅越しの三重塔。
地面には埋めの花弁が舞っていました。見ごろは過ぎているようです。
【その弐】につづく。
そしてこれから桜が見ごろに。
【太山寺(たいさんじ)】
兵庫県神戸市西区伊川谷町前開224
宗派:天台宗
本尊:薬師如来、十一面観音
創建年:霊亀2年(716年)
開基:藤原宇合
新西国三十三箇所 25番,神戸十三仏霊場 4番,神戸六地蔵 1番,
播州薬師霊場 1番, 明石西国観音霊場 26番,明石西国観音霊場 23番(龍象院)