明治から昭和にかけて「養命酒」と勢力を二分した薬用酒「サフラン酒」。
この「サフラン酒」で財を成したのが吉沢仁太郎です。
吉沢仁太郎が成した財は膨大で、
この建物がある摂田屋からJR宮内駅までの土地を持っていたそうです。
その吉沢仁太郎が建て、現在は国登録文化財に指定されている
『機那サフラン酒製造本舗土蔵』を観に行って参りました。
切妻造、桟瓦葺、海鼠壁、基礎は石積みの土蔵が右側です。
機那サフラン酒製造本舗は公式のホームページがあるわけではないので、
開館しているかイマイチ分からないため、向かいの吉乃川酒造に電話を入れた際、
ついでに開館しているか訊いてみました。
どうやら、土日は開いているようです。
昔は駐車場が無かったらしいです。
全ての建物が公開されているわけではありません。
正面は蔵への入り口&ボランティアガイドの方の受付場所、
そしてちょっとした売店があり、サフラン酒が購入できます。
小サイズで864円(税込)でした。
試飲をさせていただいたところ、
炭酸水で割るのが一番のみ易かったです。
コーラーみたいな味になります。
滋養強壮のために自分用に買ってみた。
先の中越地震で被災したそうですが、
寄付金により土蔵のみ修復することが叶ったそうです。
17種の動物・霊獣と9種の植物が
極彩色の鏝絵(こてえ)で描かれています。
印字した案内板かと思いきや、文字が彫ってありました。
これは風雪などで文字が消えにくくて良いですな。
二階部分には鳳凰が描かれています。
青い鳳凰なんですね。
一階左側は麒麟。
これまた青い。
一階右側は玄武。
切妻屋根の破風には二匹の龍が描かれています。
龍が掴むのは、吉沢家の「吉」の字。
左官・鏝絵は地元の職人である河上伊吉の作と伝えられています。
「左伊」のサインは、左官・伊吉の略だそうです。
修復されて綺麗になったらしいです。
一階右側の扉は十分なスペースがあるのに一枚扉なんですね。
何故なんだろう?
[猪とススキ]
[虎と竹]
これは鼠らしいです。
[牛と紅葉]
[馬と桜]
えらく色っぽい馬ですな。
[犬と牡丹]
目が悪いもんで、猫だと思ってました。
これは羊なんだそうです。
南面はちょっと見にくい。
建物の中に入ってみます。
土蔵入口の鏝絵は恵比寿と・・・
大黒天。
実は大黒天は初代、恵比寿は二代目の顔に似ているそうな。
セメントが塗られた土間には猫の足跡が点々と付いていました。
もしかしてわざとだったりするのかな?土蔵の鼠除け的な?
内側開口部扉の鏝絵は鶴です。
ワタクシも鏝絵を習っていた時に鶴を描いたけど、
結構難しいんですよね、バランスが。
あら、こちらの下は亀でした。
[蔵内部二階]
家の中にあったんだろうなぁと思われるものが展示してあります。
説明が無いものが特に興味深いです。
学生帽とか。
サフラン酒の後に、葡萄酒を販売して大儲けしたそうな。
めっちゃ小さい瓶入りのサフラン酒もあったのね。
これ、これが一番気になりました。
桐竹紋十郎さんの写真。
蔵の前にある佐渡の赤石。
カエルと子ガエルに見える(個人の感想です)。
[新潟県長岡市第一回都市景観賞受賞]
その隣には文化財プレートがあります。
やはり、蔵っていいですよねぇ。造形が。
左官が施された扉は、大火の際に一度閉められたそうです。
中越地震でも躯体はびくともしなかったってところがスゴイよなぁ。
【弐】につづく。
【機那サフラン酒製造本舗】
新潟県長岡市摂田屋4-6-33
機那サフラン酒本舗保存を願う市民の会サイトに募金情報があります。新潟県長岡市摂田屋4-6-33