
『洛東遺芳館』は、京の豪商・柏原家(柏屋)に伝わる美術品を展示する私設美術館。
前回時間が無くて見学できなかったのですが、今回は中に入ることが叶いました。
柏原家の先祖は加藤清正公の家臣だった人物だそうです。

江戸期の寛永年間(1645)初代三右衛門が当所に居を構えたといわれており、はじめ京小間物・扇子等を商い、徐々に商種商域を拡げ、木綿・漆器・紙の店を江戸に持ったいわゆる江戸店持京商人となり、今日も東京・大阪で盛業中であります。
展示品のすべては、柏原家の江戸時代からの伝承品で、婚礼調度・絵画・浮世絵・工芸品・古書古文書等で、これ等を順次展示しております。 また、現在の建物も幾多の大小火難を逃れ、数百年来の商家の体裁を保っている京都でも数少ないものであります。
入館料は破格の300円。
こんなに安くて良いのかと訊き返したくなるほど展示内容は上質です。
この日は、NHK大河ドラマで人気の蔦重に因んだ展示品でした。

令和七年秋季展「続・蔦屋重三郎と浮世絵展」
10月1日(水)~11月3日(月) ※10月13日と11月3日を除く月曜は休館
春季展の続編として、蔦屋重三郎が出版した喜多川歌麿・北尾政演(山東京伝)・葛飾北斎の絵本や京伝の洒落本などを中心に約五十点を展示。春季展とは展示作品を大幅に入れ替えて、鳥居清長・菊川英山・溪斎英泉・歌川国貞などの版画を加え、江戸時代後期の浮世絵美人画の変遷にも焦点を当てました。
館内は撮影OK。そういう点も太っ腹です。

火災に遭わなかった邸宅はほぼ当時の姿のまま残っています。

外にある窯。
ここで仕事をする女中さんは冬は寒かっただろうなぁ。

まずは右手の建物で美術品を見学します。(入口は背中側)

保存状態がかなり良い浮世絵が並んでいます。
虫食いもほぼ無し。

ちなみにここは二階の展示品です。

かなり保存状態の良い未使用の貝合わせのお道具も展示してありました。

美術品が展示してある建物を出て、母屋に向かいます。
これはトロッコみたいなものかしら?

石塔に彫られた絵がオールに見える。

母屋の玄関。

武家屋敷然とした重厚な玄関ですね。

大岡春ト(おおおかしゅんぽく)「唐子図」。
宝暦13年(1763年)の作品。
大岡春トは、江戸時代中期大阪を代表する狩野派の画家。

道具類の保存状態がかなり良いと感じました。

玄関側から外を眺める。

先ずあるのは応接間。
ソファーを置いても違和感がないのは天井が高いからかしら。

応接間に掛かっていた絵。
「祥邨叟(しょうそんそう)」の文字がテーブルの上の紙に書いてありました。
小原古邨(おはらこそん)が「祥邨」名義で発表した作品。
古邨は花鳥画の名手として知られ、特に海外で高く評価されたそうです。

奥の和室から見た庭。
蚊取り線香のCMが作れそう。

同室の隅に置いてある火鉢。
こうして見ると雨戸が新しく改修されているようですね。




様々な場所の襖の引手。かなり凝っています。

左の奥が仏間。大変豪華な造りです。

右側にかなり豪華な仏壇があります。

この部屋から見た庭。

ここだけでなく、お茶が点てられる部屋が複数ありました。

この部屋は女性のご隠居さんのものだろうか?

庭を囲むように建っているところが面白い。

使われている磨き丸太や竹などの材料が豪華な部屋。

母屋側から道路を眺める。
良いものを見過ぎると感覚が麻痺して来ますね。
普段だったらこんな立派な建物を見るとテンションが上がるのですが、
浮世絵で振り切れてしまったあとだったため、
「まあ、そうだよねー」的な温度になってしまいました。
記憶に残ったのは応接間の小原古邨(おはらこそん)の絵。
他の絵も見てみたいと思ったので、持っている美術館があるか探すつもりです。
ちなみに柏原家の東京での商いの場所(本社ビル)は、
いつもよく行く榮太樓總本鋪の隣でした。
あの漆器店は相当な老舗だったんだ…。

柏原家の現在の商い

【洛東遺芳館(らくとういほうかん)】
京都府京都市東山区問屋町通五条下ル3丁目西橘町472
開館時間 10:00~16:00(最終受付15:45)
休館日:月曜(祝日は開館)
入館料:一般300円
https://www.kuroeya.com/05rakutou/index.html






















